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2006年5月28日15時10分
時点のものです。


構造

 

ハードディスクドライブ内部

磁気ヘッド部分。プラッタが鏡の様にヘッドの姿を写している点に注意

プラッタハードディスクの基本構造はレコードプレイヤーに酷似している。

レコード盤に当たる物がディスク、針に当たる物がヘッド、及びヘッドを駆動するアーム

等から成り立つ。アームは円盤上を1秒間に最高100回程度の速度で往復出来、

これによって円盤のどの位置に記録されたデータへも瞬時にヘッドを移動して

読み取り、書き込みが可能となっている。

コンピュータ製品に関わる他のディスク装置は、ヘッドを円盤回転軸の中心へ垂直に

走査するのに対し、ハードディスク装置のみこの方式でない点は興味深い。



ガラスやアルミニウム等の硬い円板に磁性体を蒸着等の方法により塗布し、

データを記録しているのでハードディスクという。

また、この円板部分をプラッタと呼ぶ。更に、プラッタの各面の事をサーフェスと呼ぶ。

 通常、ハードディスクは複数枚のプラッタが取り付けられていて、

プラッタの両面に読み書きする。



ハードディスクドライブには、磁性体の上にライナーと呼ばれている潤滑剤が

塗布されている。

ディスク停止時には磁気ヘッドとプラッタは接触しているが、このライナーの上を

ヘッドが滑り、回転数が上がるに連れ、プラッタ表面近傍のプラッタと共に回転する

空気によってヘッドが極僅かに浮き上がる。

このライナーが劣化すると、ヘッドが磁性面に引っかかる形で衝突し、

ヘッドクラッシュという現象を起こす。

一般に、このライナーの寿命がハードディスクそのものの寿命となる。

この為、密閉式のハードディスク装置は準消耗品的な扱いを受ける場合が多い。



古い時代のハードディスクは停止命令を送ると、ヘッドをプラッタから引き上げ、

退避位置に移動させる様になっていた。

しかし部品点数削減と停止命令を送らないOS(MS-DOS等)の普及等から、

ヘッドはプラッタの上に放置される様になった。

この改良以降、互いに鏡面加工された物体が接触した状態で放置されるとそこで接着され

てしまう「はりつき」と呼ばれる現象が発生するようになった。



これはハードディスクが起動しなくなる深刻な障害で、回復させる為に様々な方法が

考案された(バケツの水を回す様にハードディスク筐体を電源を入れながら回転させる、

クッションに包んでハードディスクを床に落として衝撃を与える、筐体を分解して

ディスクを手で強制的に回転させる等)。



後にプラッターの一部に凹凸を付けた領域を設け、電源が切られた場合強制的にそこへ

移動させる様になり、「はりつき」の悲劇は解消された。

現在のOSはハードディスクに停止命令や電源オフ命令を送る様になり、

特に耐衝撃性能が要求される携帯機器向けのハードディスクではヘッドを退避領域に

戻す機構(ドロップ・センサー機能)が復活している。



内部は、埃の侵入を防ぐ為密閉されており、フロッピーディスク装置とは違い

記録メディアとドライブ、コントローラ、インターフェイスが一体となっている。

基本的に金属製の筐体は開けられないようになっており、

開けてしまうと埃が内部に付着して壊れてしまう。(保証期間でも保証対象外に

なるので、注意)



但し、完全に密閉されている訳ではなく1箇所だけ小さな空気取り入れ口が存在するが、

これは使用時の温度変化に伴うドライブ内の空気圧が上昇するのに対応する目的である。

磁気ヘッド自体が空気分子により磁性面より幾分浮き上がっているので、

温度変化は磁気ヘッドと磁性面の間隔を左右する要素となる。

空気取り入れ口はこの圧力を一定に保つ役割を持つ。





モーター

ハードディスクの機能を実現している電気部品の内、駆動系に関わるのはモーターである。



ハードディスクに関わる電動機は2つあり、1つは円盤部分を回転させるモーター(スピン

ドルモーター)、もう1つはヘッドをシークさせるアームを駆動するモーター(ボイスコ

イルモーター)である。



円盤部分を回転させるモーターはダイレクトドライブ方式となっており、

5,400・7,200・10,000・15,000rpmが主立った回転数である。

現在は、ATAで7,200 SCSI,FCで10,000・15,000rpmが主流である。



アームの駆動モーターは通常のモーターの形をしておらず、早い話がリニアモーターと

なっており、2枚の強力な磁石(主にネオジム磁石を使った物)の間にコイルを起き、

このコイルの動きがそのままアームの動きとなっている。

このようなアームのシーク方式は1993年頃から一般化したが、それ以前のハードディスク

には、ステッピングモーターの回転をアームの動きへと変換するリンク構造が用いられて

いた。

この方式はハードディスク全体の小型化やシークタイムの微小化に不向きであり、

現在そのような方式が用いられることはない。



軸受け

ハードディスクには2つの軸受けが必要である。

1つは円盤下部においてモーター内部の軸を支える軸受け、もう1つはヘッドをシークする

アームの台座となっている部分である。

この軸受けに求められる性能は非常に高く、自動車等の軸受けと比較した場合遥かに

高性能でることが想像できる。



一般に軸受けにはベアリングが用いられるが、ハードディスクも例外ではなく、

モーターの回転軸の軸受部にボールを使用した玉軸受(ボールベアリング)と

流体動圧軸受(Fluid Dynamic Bearing;FDB)がある。

流体動圧軸受はモーターの軸と軸受の間が潤滑油で満たされている。

非回転時は軸と軸受が接しているが、回転時に動圧が発生し軸と軸受が非接触状態となる。

その為静音でモーターの寿命も長く最近は流体軸受の方が主流である。

潤滑油が漏れるのではないか?といった懸念が一部にあるようだが、

オイルシール部周辺には撥油膜(潤滑油を撥ね返す膜)が被われており、

大きな衝撃を加えない限りは潤滑油は飛散しない。



記録密度

プラッタ上の記録密度は、1平方インチ辺り最大で垂直記録で133Gbit、

面内記録で120Gbitの物が製品化されている(2006年2月現在)。このような超高密度に

なったハードディスクでは、ディスク回転時のプラッタとヘッドの距離は10nm~30nmで

あり、タバコの煙の粒子より狭い為、

ハードディスク内部は半導体製造工場並みの無塵度が求められる。





インターフェース

 

パラレルATA端子とケーブルコンピュータとのインターフェースは古くはSASI、

現在はシリアルATAやATAやSCSI,FC等が用いられる。

外付けドライブとして拡張する場合は、従来はSCSIが多く利用されてきたが、

1990年代半ば以降はUSBやIEEE1394とIDEの変換を磁気ディスク装置内で行い接続するのが

一般的である。

尚、ネットワークからTCP/IPで直接接続出来る様にしたNASと呼ばれる磁気ディスク装置もある。



また、シリアルATAを外付けドライブとして用いる為に拡張した規格として、2005年現在eSATAの規格化が進められている。





コントローラ

ヘッドにケーブルもしくはフィルム基板の形で直結されているピックアップアンプから

インターフェースまでの間に、コントローラ基板を搭載している(汎用機の時代には

別体であった時代もあった)。



一般的にこの基板はそれ自体が独立したマイコンでモーターやヘッドのサーボ制御・

位置決め・トラック位置に応じた書き込み電圧の制御・読み書きする際の変調・

インターフェースとのデータの入出力・キャッシュメモリの制御等を行う。

1990年頃から更にタグ付キューイングと遅延書き込みを担当し、OSの負荷を軽減した。

1990年半ばからIDEハードディスクではDMA転送モードの取り扱いを始めた(しかしその活

用はUltra DMAの登場まで待つ事となる)。

尚、Windowsの古いバージョンでは、ハードディスクの書き込み完了を待たずに電源を

切る誤作動があり、折角高機能化されたSCSIハードディスクの機能を意図的に

無効にしていた時代があった。

その為、入出力にオーバーヘッドを伴うSCSIよりもIDEの方が高速で且つ安価だったので、

市場の主流はIDEハードディスクが占めた。

更にIDEのコマンド体系を拡張したATAPIに対して機能追加した事で機能面ではSCSIと

並んだ為、市場では依然としてIDE系列のインターフェースを持つハードディスクが

主流である。





パーティション

ハードディスクは1台で大容量を利用出来る為、利用方法に合わせて

内部を区画(パーティション)に分割出来る。

個々の区画を別々のOSで利用する事も出来る。





サイズ

2005年現在のコンピュータで利用されているものは、

殆どが3.5インチや2.5インチサイズのディスクである。

小さなものでは、ミニPCカードサイズのマイクロドライブ、

iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)等もある。



8インチ - 大型汎用コンピュータ用途。



5インチ - 大型汎用コンピュータ、1990年代までのパーソナルコンピュータ用途。



3.5インチ - 1990年代以降、現在のデスクトップパソコンや

            サーバ、ワークステーション用の主流。



2.5インチ - ノートパソコン用の主流、最近ではカーナビゲーションシステム等も利用。



1.8インチ - 大部分の小型軽量タイプのノートパソコン用、携帯型音楽プレーヤ、

            携帯型ビデオプレーヤ用途等。



1インチ - 単体ではマイクロドライブと言われる商標のものが一般的に知られている。

          高性能デジタルカメラや小型携帯型音楽プレーヤー、PDAにも。

 

0.85インチ - 超小型。東芝が2003年に開発。

             自社の開発するデジタルビデオカメラに使われている。

             2006年に発売されたau向けの携帯電話、W41Tにも搭載されている。

             因みにこの極小サイズのHDD、内部のディスク自体は

             0.85インチ=21.6mm、つまり五円硬貨とほぼ同じサイズである。





外付けタイプ

ハードディスクはコンピュータの筐体に内蔵されるのみでなく、外部補助記憶装置として

も利用されている。

外付けハードディスクはハードディスク本体を更に金属や樹脂の筐体に入れ、

変換回路により端子を変換し、ケーブルによってコンピュータに接続出来る様にした物で

ある。

中には内蔵ハードディスクをハードディスクケースという専用のケースに取り付けて

外付けハードディスクとして利用出来る様にした装置もある。

これは低価格だが取り付けの手間がかかる内蔵ハードディスクの利点と、

手軽に使用出来るが高価な外付けハードディスクの両方の利点を生かし、

ハードディスクを低価格で入手出来、且つ手軽に扱えるようになるものである。

 接続にはSCSI、USB、IEEE1394、ファイバーチャネル等が用いられるが、

ATAPI規格は用いられない。

これはATAPI規格がコンピュータ内部での補助記憶装置の接続に特化して

開発された経緯に由るものである。



ハードディスクを搭載したMP3プレイヤーやモバイルコンピュータ等がコンピュータと

直接接続する事によって外付けハードディスクと同様の役割を持つ事が

出来る様になっている製品も存在する。



ハードディスクの論理的な記録構造を応用したものにRAIDという仕組みが存在する。

これはハードディスクの記憶領域を直列、または並列、もしくはその両方、

といった形式に論理的な接続(ハードディスクのインターフェイスとの接続は物理的で

ある点に注意)を行い、見かけ上の速度を上げたり、同じデータが2つのハードディスク

に記録されるようにし、バックアップを常時取れるように改良する仕組みと言える。

通常、こういった仕掛けは外付けタイプのハードディスクで行われ、そのような装置を

一般にRAIDアレイと呼ぶ。

RAIDアレイは一般的なハードディスク装置とは呼べず、大きさもさることながら

価格も高価である事から、企業等のような団体や組織で使用される事例が殆どである。




品質

ハードディスクドライブは、その製造過程に於いて高度なクリーンルームや

良質の磁性体、潤滑剤等の品質に左右されている。

これらの事柄が要因となってドライブのロット不良を起こす場合がある。

これに対し、大手パソコンメーカー等では1つのパソコンモデルに対し、

2~3社の同一容量のドライブを採用し、危機分散を行っている。





製品寿命

S.M.A.R.T.で計られ、MTBF(平均故障間隔)やMTTF(平均故障時間)として推測される。

一般に温度が高いほど寿命は短くなる。

 使用環境や製造ロット等に大きく左右されるが、同一ロットの製品でも個体差が大きい

為寿命は一概には言えない。



S-ATA,P-ATAは、1日を8時間、1年を300日として設計されている。

対して、SCSI,SAS,FCは、1日を24時間、365日として設計されている。

これは、S-ATA,P-ATAがオフィス使用のパソコンでの使用を前提にしている為であり、

SCSI,SAS,FCがサーバーなど、365日24時間稼動での使用を前提にしているからだ。



ハードディスクは製品寿命が用途の重要性に照らして極めて短く、

その稼動頻度から考えて「壊れ易い物」「消耗品」と断言出来る。

凡そ磁気記憶装置が発明された時代から常に、バックアップはデータ保全上の至上命題で

ある。

ある統計では約80%の利用者がハードディスクのデータ喪失を経験している。

また近年、ハードユーザーの間で話題となったRAIDも一般的とは言えないが、

この問題に対する対策の1つである。

一般ユーザーレベルでも重要なデータをCD-R等の外部メディアへの保存を

こまめに行う重要性が古くから唱えられている(この方法でもメディアの耐久性や

保存環境等に注意する必要がある)。



ドライブの製造期間は短い物で3箇月、長い物で1年程度である。

また、国が定めている製品のサポート義務期間は約5年である。

この為、パソコンメーカー等では修理部品の確保が難しい場合が多く、

修理作業自体にかかる手間(故障したドライブの修復を行う専門業者も存在するが、

かなり割高な代金となる事が多い)やドライブの価格低下が激しい事情も合わせて、

故障した製品の代替に新品を送る事で対応する例も珍しくない。



衝撃

ハードディスクは落下等の強い衝撃を受けた場合、ヘッドが円盤面に衝突して

円盤に傷が付いたり、モーター内のベアリングが変形したりしてデータの読み書きが

不能となる場合がある。

特に動作中の落下が故障し易い為、携帯用途で使用されるハードディスクを

内蔵した製品を扱う場合は強い衝撃を与えないように注意を払う必要がある。



一部のハードディスクは加速度センサーを内蔵し、自由落下を検出するとヘッドを

ディスクから引き離して破損を予防する機能が付加された。

これにより、ハードディスクの用途は大きく広がり2006年には携帯電話への搭載も

実現した。

フラッシュメモリが主力となっていた組み込み機器に於いても、何度でも書き込める・

大容量である・容量辺りの単価が安い・汎用OSが使えるという利点から

進出が期待されている。

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